ロウ付け。

 

 

 

 

 

 

 

 

Crown brazing

 

 

 

当工房でも用いている製法、フレームビルドで一般的なロウ付けという溶接技法。

どちらかといえば古き良きオールドスクールな技法です。

ろう接と溶接とは似て非なるものではありますが、わかりやすく説明するために溶接の一つとして記載してます。

 

 

 

ロウ付けにはフラックスという溶剤が必要不可欠です。

溶接中の酸化を防止したり、洗浄作用があったり、ロウ材の流動性を確保できる、これもすべてフラックスのおかげ。

もしフラックスを全く使わずにロウ付けしようものなら、酸化膜だらけの真っ黒い溶接になり、ロウがしっかり行き渡っていない品質低下が著しいロウ付けになってしまいます。
 

 

写真のクラウンのフォークブレードをこれから差し込む部分付近は溶接前なのでフラックスを塗っていない箇所。

照りのない部分の先端付近がフラックス未塗布部分となります。

フラックスが塗られた箇所と塗られていない箇所は母材のクラウンが色が分かれていて、フラックスを塗布してある箇所の銀色っぽくなっているのが溶接中に欠かせない酸化防止&洗浄作用というやつです。

 

 

うちで用いるフラックスは、火を入れるロウ付け前はペースト状か粉末。

溶接中に熱が加わると徐々に粘りのある綺麗な水飴状に変化。

溶接後に冷めていくとガラス質に固まります。

 

フラックスで湿潤かつ照りのあるぬれ状態に保ちつつ適切な箇所に熱を入れてあげれば、しっかりとロウが流動したロウ付けが出来ます。

ロウ材は片側から挿し、その逆側へ沁みだしてくればしっかり行き渡っているサインの一つ。

逆に低温なら当然焦げませんがロウ材が溶けない温度なので、ぬる過ぎず熱過ぎずの美味しい火加減というのが必要になります。 

 

 

上手くいったロウ付けはフラックスが綺麗に透き通っていたり照りがあります。

フラックスの量が不適切であったり炙り過ぎて溶接中の温度管理が出来ていないと、フラックスは活性温度を保てず、乾いたような質感で黒く焦げてしまったりします。

 

今回は真鍮ロウですが、銀ロウなど数種類使い分けており、フラックスや途中工程や仕上がりも異なります。

 

 

 

 

フラックスは溶接後に鉄に強く付着します。

溶接箇所付近の全域に付着し手作業で落とすにはかなり難儀しますので、洗浄液に浸けてフラックス残渣をおとします。

浸けることによって外部のみならず、パイプ内部の両方のフラックス残渣を洗浄できます。 

フラックスは溶接の最中にしか必要にしない溶剤なので、溶接が終わった後は全く無用であっても良い事ないので綺麗に除去する必要があります。

 

 

 

綺麗な状態に保たれたフラックスはその後の洗浄が短時間かつ非常にスムーズに終わりますが、焦げてしまったフラックスは洗浄液ではかなり落ちにくい性質となります。

 

上手くいけば洗浄液に浸している間に、他の仕事をしたり一息の休憩ついていたりすればもう綺麗さっぱり。

焦がすと焦げ跡を取る作業工程が増えることになり、多少なりとも焦げもろとも余計に下地を削ったりキズつけてしまうことにもつながります。

 

 

フラックスがさっぱりと無くなったフレームは仕上げが非常にやり易い。

ただでさえ溶接後のラグの仕上げやフィレット研磨は骨が折れるので、少しでも綺麗な状態で溶接を終えるのは非常に大事。

 

 

ロウ付けのフレームは溶接後に仕上げをするので、このような状態は作り手でないと目の当たりにしにくいものです。 

 

見えない箇所だからと手を抜かず丁寧に工程を積み上げていけば、その後の仕事をよりスムーズにしてくれて仕上がりの品質も向上します。 

 

 

 

これらは普段から身体に沁み付いている一工程ですが、文章で語れる事はやっている事の氷山の一角に過ぎません。

ほんのごく一部のさわり程度を少し書いたつもりぐらいでも今回のような文章です。

溶接に限らずモノ作りというやつは、こういった事や口頭や文章では伝えきれぬ事柄ばかり。

 

 

 

こだわりといってはエゴでもありますが、より良く気に入っていただき安心してお使いいただけるよう、見えない細かい事の積み重ねが重要です。 

 

 

プロの端くれとしてどうやって旨味を引き出すか、もっともっと勉強せねばなりませんね。 

 

 

 

 

 

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