千年。

 

 

 

 

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千年。

 

 

 

最近オーダーご検討いただいている良きお客様からおしえていただいた本。 

 

 

白鷹さんという鍛冶職人さんの半生が語られています。

薬師寺再建に使用する釘を作る話。

 

ただの釘ということではなく、製作に伴う逸話が半端ではありません。

元の建造に使われている古代の釘のように、最低千年もつものでないと駄目という厳しい条件。

 

 

 

そんな途方もない悠久を耐えうる釘製作に挑戦されています。

美術工芸品ではなく、作るのは千年もつ実用の釘。

 

古代のままの製法ではコストがかかりすぎるので、現代で一番良いと思われる方法で作られているらしい。

ただ模倣したレプリカではなく、お飾りの置物でもない、作るのはきっちり機能させねばならない材料。

 

素晴らしいです。

自分も模倣品や複製でなく、きちっと機能美が追求されているものにこそ美を感じるので大変感銘を受けます。

 

 

 

 

 

製作関連のみならず理念的なことも綴られていますが、名人とはどんな人か、鉄に惚れ込む様など、大半が強く共感できることで書かれておりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄って良いですね。

これを読んで、自分が何故鉄フレームを作るかを思い返しました。

 

 

 

 

日本のビルダーはロウ付けばかりですが、技術面や設備的理由で鉄フレーム以外はやらないのでは、と言われているのを以前からしばしば目にします。

他のビルダーさんの事情は存じませんが、自分が鉄を選ぶ理由は上記ではありません。

真に作りたい素材が鉄以外であれば手を尽くして学び、どうにか形に出来るように励みます。

 

 

鉄以外のその他素材も好きですが、一番惚れ込み追求したいのが鉄なのです。

重く、錆びて、旧い。

そんな素材とはわかっていますが愛してやみません。

 

製作工程も古き良きロウ付けを好み、今のところTIG溶接をやっていません。

鉄工所時代に電気溶接全般を主にやっていましたが、フレームビルドを携わるようになってからはロウ付けです。

ロウ付けにこだわっているのも技術・設備的理由でもありません。

 

初めてシンプルなフィレットフレームを見たときや、雑多なラグワークでなくなんだか手の込んだような美しく造形されたラグフレームを初めてみたとき、目を奪われたのはよく憶えています。

それらの存在感というか迫力、如何にも人の手で作った感じが色濃く心に刻まれています。 

初めて見た当時は見方や薀蓄などは知りもしないわけですが、ただ訳も分からず美しいと感じたような気がします。

 

趣深きロウ付けが好きなんです。

 

 

技術面や設備などの理由で作るものを決めるなど自分には考えられない。

個人で揃えられる以上の事でなければ、好きなものを探求し作るということ。 

 

 

 

 

 

 

 

 

本を読む前は完全なる複製を作る話なのだろうなと思っておりましたが、共感できる似た考えが多数あったので凄く良い意味で裏切られました。

ごく世間一般的に面白いかどうかは知りませんが、面白かったです。

 

自転車は千年もたせることは不可能に近いぐらいだと思いますが、重量バランスも見ながら少しでも長く付き合えるものを作りたいですね。

ただ置物としてならば千年もたせることは可能かもしれませんが、実際に自転車として使われ続けて千年となると...どう作ったら良いか想像もできません。

 

 

こんなことを重ね合わせてモヤモヤと...

想像したとこでそんな永き時は生きてる間にわかりも試せもしません。 

 

とりあえずは今乗ってるCOR-TEN鋼のBlacksmithがどれほどもってくれるか、それが楽しみです。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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