今年ももうすぐ終わり。
早いものです。
四畳半の狭小工房に引き篭もり鉄と向き合う一年、いや一年というか生涯。
閑古鳥が鳴いていた時期は混沌とし、かといえば急に忙しくなったりすればテンパる、超不安定な一年。
結局工房立ち上げてから常に貧乏暇無し。
技術向上にはストイックなつもりですが、頭が芳しくないのでその他業務は進歩できません。
まあお金持ちになるためにこの仕事をやっているわけではないので、細々ながら食っていければ最低限良しとします。
食っていけるだけのご依頼をくださるお客様が居るだけ幸せというものです。
来年も喜んでいただけるよう、妥協せず製作に精進します。
てなわけで今年最後の記事になりそうです。
最後は濃厚な大作を。
文京区のチョイワルオヤジなO氏からのご依頼の一品の紹介です。
モノが好きな方で、目が肥えてらっしゃるので要望も特殊。
まだ50代のお客様ですが、人生最後の自転車にしたいとのご依頼。
そう聞くとプレッシャーが相当ですが、それ以上に最後の自転車にとうちを選んでくださり、自分を信頼してくれた嬉しい気持ちが強くなんとかお応えしたい。
うちはその人オンリーのカスタムビルド。
お客様と相談を重ね、談話をしながら煮詰めていく。
そして要望はもちろん、その人の心境なども込めながらの製作。
その他婚礼の記念などにも作ってくださるお客様もいたりします。
誰が乗るかわからないフレームだと、少しだけ何か違和感的な感情があります。
乗り手が見えないとなんか様々なイメージができない、やはり乗り手をイメージしながらのほうがやりやすい。
さてさて作ったフレームですが、キャパの広さには自信のあるREW10ならではのモノ。
得意とするミックススタイル、今回はBMX、MTB、CRUISER的要素をミックス。
設計のお仕事をやってらっしゃるので図面をわざわざ作成してくださり、そしてシビアな相談から始まり、時間はかかりましたがやっと納車。
濃厚なカスタムビルドクルーザーです。
普段は要望を伺って、デザイン補佐とジオメトリー考案は自分の仕事ですが、今回はデザイン・ジオメトリーはおおよそお客様考案です。
なかなか良い雰囲気と、良さそうな乗り味になりそうなジオメトリーだったので、あまり修正せずそのままに。
そこにうちらしさも落とし込んでいきました。

なにやらデカイです。
迫力あります。

自分の隆天號と並べるとデカさがよくわかる。
背格好も自分と同じぐらい、フレームサイズ的には同じような感じです。
隆天號もロングホイールベースでそこそこ大柄なのですが、29erということもあってかとにかくデカイ。

クロモリ鋼板をフル手作業で切ったエンド。
大した設備も無いので、この作業をしてたときは顔が真っ黒になったのを思い出します。
使用した鋼板は黒皮のクロモリ、元々表面が荒れてますので磨き入れるのに超苦労。
超ロングポイントのイタリアンカット的なラグを横向きにしたラグ。
横向くとアメリカンな雰囲気になり個性が変化します。
長いとカット、ロウ付け、仕上げすべて地味に大変なんです。

どこの仕様も苦労したけど一番大変だった気がする、モノチェーンステー。
曲げ、ツブシ、フィレットと様々な技術応酬で作りました。
夜の納車でしたので、掲載の写真は100km以上乗った後に撮ったので埃も付着しておりますが、やはりこの自転車の最大の特徴は輝きです。
その他の写真はflickrのほうへあげておきますのでお楽しみを。
自転車は乗り物。
造形を凝っても走りやすくないと意味がない。
乗り味も非常に面白く、乗りやすいと言ってくださり光栄に存じます。
雰囲気を殺さぬよう、かっこよく乗りやすいジオメトリーは今後一層こだわりたいところ。
もっと勉強してより良くなれるように研究します。
うちならではのちょっとゆるいスタイルを本気で追求してみます。
あと20~30年は乗っていただけるよう強度も考慮したつもりです。
強度面に関してはおまかせで味付けさせていただきました。
20年後ぐらいに、こんなに乗ったぞ的な紹介で記事が書ければこれほど嬉しいことはないと憶えておきたいと思います。
シンプルながらこってり濃厚なフレームでした。
作るのもほんと大変な一台でございました。
今年の商品紹介、これでシメさせていただきたいと思います。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
来年も面白いモノを貪欲に。
良いお年を。
