自転車を作れる。
そんな自分は何をすべきだろう。
最近、自分の存在意義をよく考えます。
自分の自転車は街中で乗ることに比重を置いています。
スポーツ車の進化は素晴らしい。
もはやレースシーンでは鉄など過去の素材で、レース性能でははるかに及ばないのは自明の理。
レース性能で勝とうとするだけ苦しい。
鉄は重いが、扱いやすく、乗り味優しく、耐久性に優れ、ルックスがさりげない。
レースシーンではめっきり見ることのなくなった、過去の産物となってしまった鉄。
しかしアマチュアのデイリーユースの自転車や、強度が必要な自転車となると、どの素材よりも鉄のほうがはるかに勝ると考えるからこそ鉄にこだわる。
自分にとっては鉄が最新の素材なのです。
自転車の進化も、いわゆるスポーツ車という自転車の進化は素晴らしいが、デイリーユースでの自転車の進化はまだまだ発展途上か。
スポーツ車だけが高級自転車ではなく、それ以外の高級自転車の在り方を普段使うからこそとことん探求、スポーツ車の良いところを取り入れながら。
こういうことを本気で極めようとする自分です。
じらしにじらした、最新のサンプルは街中で自転車に乗るお母さんたちに捧ぐ、ママチャリです。
ママチャリ。安いがゆえにガサツに扱われてしまう少しかわいそうな自転車。
あの安さで売ることを成功させた技術者たちは尊敬しますが、乗る側には低価格ゆえに自転車愛が少ない。
しかたのないことだとは思うが悲しかったりもする。
愛してもらえるママチャリ。
永く使えると思えばオーダーママチャリとて高くない。
自分は妻子持ちです。
ママチャリを作る意味があるというもの。
二人とも絶賛させるために意気込んでみました。
まずママチャリ開発にあたり、日々子育てに勤しむカミサンをはじめ、お子さん持ちのリアルハードコアマダムに自転車に求める性能をアンケート調査。
彼女たちはスポーツ車の常識を覆す要望をぶつけてくるわけであります。
エンドユーザーの意見は最も尊重すべき事。
いろいろ聞いているとやはり市販のものではまず見当たらない。
乗り手のための至高の一台を考える。
いろいろ試行錯誤...
苦労もする...
そしてなんとか出来上がりました。
至高な道具に近づくべく、REW10が考えたママチャリ。
妻の要望で色はダーティな黒。
チョイワルにきまっております。
低重心での安定性はこだわりました。
両輪BMX用20x1.75。小径低重心で強度も抜群。
フロントキャリア部をギリギリまで高さを下げるため、インテグラルヘッド。
インテグラルならワンの部分にも溶接がかませます。
基本的に短いヘッドチューブは剛性が下がってしまいますが、インテグラルヘッドが剛性upの効果ありで一石二鳥。
跨ぎやすくするためのスタッガードタイプフレーム形状は、剛性が低下しがちなので剛性確保は重要項目。
剛性を向上させるために各パイプにも一工夫しております。

フロントのここに子供を乗せる。
これは子供目線からすると、自分で操縦しているかのようで非常に楽しいようで、娘の喜びようはハンパではありません。
市販のものは安全性を重視しすぎて、過度に籠状の枠で覆われてしまうものが多いので操縦している気分になれなそうに感じました。
そしてあのプラスチック特有のママチャリ感が気に入らない。
囲いすぎると自転車特有の気持ちいい風は感じることができません。
子供の体よりせり出したキャリア部と囲いのハンドルは、万が一の転倒程度ならかわいい子供の身を守ってくれるわけでございます。
鉄製なのでまこと堅固。
子供の大事な頭部は横のハンドルがバンパー代わりに。
一回転でもしない限りまず頭は保護される。
広々デッキで足が伸ばせる開放感で自転車のファーストクラス、またまた一石二鳥。
チャイルドシートはカミサンが気合入れて探した、日本ではレアなシートBOBIKE。
シンプルで非常にオサレ。
バリスティックナイロンの子供クッションは妻のお手製。
子供用のステムには、娘が好きなハートの穴抜。
三歳の娘が言わずとも気付いてくれたときは嬉しかったものです。
フォークコラムのすぐ上に子供の重心がくるので、ステアリング安定性抜群。
ギア比はかなり軽めに設定したのでスピードが出ないので安全です。
スピードが出てしまうとついつい頑張ってしまい危険。
急の反応もできるようフロントのみディスクブレーキ。
リアもディスクだと重くなってしまうので、リアはすっきりとUブレーキ。
その他駐輪時のハンドルふらつき防止のフロントスタンドなどなど。
そして子供乗せ自転車というのは真価を発揮するのは、子供が小さい数年ですね。
子供が乗らなくなっては意味も無く、ルックスもよろしくないものになってしまいます。
せっかく購入した自転車も短命では可哀想というもの。
先ほど永く使えると申しました。
至高な道具でありたいとも言いました。
子供を乗せて終わってしまっては永く使える至高な道具とは言えない。
そしてこの自転車もそれで終わりではありません。
この自転車はざっと30~40年は乗っていただきたい、末永く主婦生活を支える相棒です。
キャリア部にダボが取り付けられています。
後にカゴ枠などを製作することにより、ミニカーゴバイクに変化します。
ネジにてかんたん取り付け。
カーゴバイクは長さがかなり長いものばかりで欧米向きといえるサイズ。
日本の都市部だと止めるところも少し難しい。
この自転車、全長160cmほどと意外にコンパクト。
スーパーの前でも悠々と駐輪できる、現場にやさしい日本的親切設計。
20kg弱ほどの子供を乗せても十分な安定感ですから、スーパーでの食材買出し程度の荷物なら難なく積めることでしょう。
増設カゴはまだ製作していないので数年後、お楽しみに。
もう書ききれない、すべて書くと倍ぐらいは必要なので、ディテール紹介はこのへんで。
フレームのみならずパーツの隅々までこだわって、すべてが成るべくして成っています。
ほんとこだわり満載。
ママさんたちがぶつけてきた、かっこよさ、使いやすさ、永く乗れること、すべて解決。
ダメだし連発のカミサンにも太鼓判をいただきました。
この自転車で街中流すと、まず娘がはしゃぎます。
すれ違う主婦さんたちがかなりの高確率で見てくださいます。
一番嬉しかったのは、
ママ!!!アレ乗ってみたい!!!!!と3~4歳の見知らぬ子供に言われた事。
こんな小さい子供に訴えかける自転車がキャラモノやキワモノ以外でどれほどあろうか。
職人冥利に尽きます。
スポーツ車好きな人よりも、ママさんがよく見てくださるので狙い通りの食いつき。
一回出かければ一回は声をかけられます。
基本ママチャリというのは、やはりママチャリらしくなってしまう、 無いゆえに皆さんかっこいいママチャリを求めているのです。
ママさんたちのママチャリに対する探究心が凄まじいことにも気付きました。
作り手が本気でママさんのために本気で作ると良いモノは生まれます。
乗る人も、子供も、見る人もみんな楽しい自転車。
楽しい自転車が一番であります。
まだまだプロトタイプですので、改善できるところはありますがとりあえずかなりの完成度です。
これに娘を乗せた雄姿は後ほど紹介できればします。
身近な人に目を向ける。
レーサーを勝利させ賞賛を得るより、人がやっていない、自分のすべきこと、自分しかできないことは何か。
速く駆ったり、山いったり、トリックしたり、ポロやったり、それ以外にも見えていない楽しいことは多数あります。
乗り手に近い立場で、乗り手のことを最善に考えることを忘れずに、かゆいスキマを狙ってきます。
キャパの広さには絶対的自信があります。
なんでもどうぞ。